ネストの創立者、「真の名探偵」天命ハジメには、ひとり息子がいた。
それが天命大地である。
ハジメの持つ神のような推理力は遺伝しなかったものの、大地は今日も父の背中を追って背伸びをする。
大地を支える記録者は、
大地の元クラスメイトの女好き、霧縦人と
伝説の"記録者"、塔翠。
人々の生活の音に満ちた、むかしながらの情緒を残す下町に、アグリーダックの事務所はある。
「地域密着」を看板に掲げるアグリーダックは、派手な事件とは縁がない。
たとえレコードは上がらずとも、依頼人の笑顔のためならばあらゆる労を厭わないのが天命大地の探偵倫理である。
アヒルは、空を見上げて地を歩く。
だって、ここは最下層。登る他に道はないのだから。